アスペクトの効果

今回はアスペクトの効果について考えます。1回目に書いたことの復習でもあります。

経済占星学に対する批判と、罫線分析(Technical Analysis)に対する批判には似たものがあります。生きた経済活動や市場の価格動向を予測するのに過去のデータを使って予測出来るのか? というのが、その代表ともいえるものですが、少なくとも罫線分析に関しては、それなりの効果がありますし、アストロを利用した予測もそれなりの効果があると思います。

出生図(N)、進行図(P)、経過図(T)を使った予測は、アストロの基本ともいえるものですが、まったく違った視点から、「経過の感受点は市場の参加者全てに影響を与えている」という仮定も成り立つのではないでしょうか?つまり、「一定の感受点配置は市場の参加者全てに同じような行動を起こさせる可能性がある」という仮定です。前回のアスペクトによる価格の反復も経過のアスペクトによるものでしたね。

この仮定が実証できるか、実際の為替相場(ドルの対欧州通過相場)の動きと経過の感受点配置を、長期に渡って(1985~94年の10年)チェックしたことがありますが、その結果は以下の通りでした。

10大感受点による連続するトラインはドル買い、連続するスクエアはドル売りを示すことが多く、状況によりセクスタイルがドル買いに作用したり、セスキコードレートがドル売りに作用することもありましたが、トラインやスクエアに較べると影響が弱いようです。このことはロバート・コール氏の著述にある、イージーなアスペクトは米国ダウに好影響を与え、ディフィカルトなアスペクトはダウに悪影響を与える、という研究にも通じるものです。

さらに、月がアスペクトを作らない時間帯をボイドタイムと呼びますが、この時間帯は情報伝達のミスによる勘違いが多く、誰もが情緒不安定になり易いといわれます。相場においては逆張り(相場の流れに逆らう)がうまくいくことも多く、仮に上記のクラスター(連続するアスペクト)があった場合でも、一度仕切り直す必要があるようです。つまりクラスターもボイドによってボイド(無効)になるのです。

ボイドで記憶に残っている事として、94年2月(この原稿を書いた前年)に日本経済新聞のトップ記事修正という事件がありました。「アメリカは110円の円安を容認」という記事が、事実は1月の段階で110円以上の円安は容認出来ない、と言ったことが誤って報道されたというものでした。アメリカ財務省から大蔵省に対して苦情が来たのか、翌日、大蔵省による異例の新聞記事を否定する記者会見が行われました。この記事が新聞に載せられることが決まったのが、ちょうどボイドタイムでした。

次に、中長期のトレンド変化とアスペクトとの関連です。これは、月と冥王星のトライン(特に120度)がきっかけになることが多く見られましたが、やはり単独のアスペクトよりも複数のアスペクトが同時に発生する時に顕著に現れるようでした。例えば、相場の関係者は新月、満月を気にしている人が多いようですが、新月との組み合わせではドル買い、満月との組み合わせではドル売りにつながる傾向が強いようです。逆行や順行への移行日との組み合わせやイングレス(特に感受点の支配サインへのイングレス)も要注意です。

最後に予測という行為に共通の大前提ですが、現実からかけ離れた予測をしても意味が無いですから、まず現状の基礎的条件を把握することが大切です。経済予測でのファンダメンタルズと呼ばれる部分ですね。ですから、アストロによる予測の利用方法も、流れを見ながら時にはドル売りシグナルは使ってもドル買いシグナルは使わない、といった態度で臨むことも必要になってくることを付け加えておきます。