時の選び方

時の選び方、というとあまりにも抽象的な表現ですのでもう少しわかりやすく表現すると、未来を予測するのにどのような手法で、またどの時点でもって判断するのかということです。

基本手法としては、出生図(Natal)と進行図(Progress)、経過図(Transit)を組み合わせて判断するわけですが、出生図がいわゆる誕生日のチャートであるのに対して、進行図は出生図の感受点位置を一定の計算方法によって年と共に動かしていくものです。代表的なものに、セカンダリー・プログレスというものがあり、出生後の1日を1年に想定して感受点を動かす、1日1年法がよく使われています。それに対して経過図というのは実際に運行している感受点位置をそのまま使うものです。

わかりにくいので例をあげてみましょう。手元の資料に間違いが無ければ、米国債先物(Tボンド・フューチャー)は、1977年8月22日の 10:00(Local Time)にCBOTに上場されたので、この時をもって出生図を書きます。そして、1994年を判断するにあたって17年後(1994-1977=17)となりますので、17日目である1997年9月8日の感受点位置を使って進行図を、1994年の感受点位置を使って経過図を作製するということになります。

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次に、一定の時期をどのようにして選ぶのか、ということについては通常、イングレス図、会合図、月相図を使います。イングレス図というのは、感受点がサインやハウスに入る時のチャートです。代表的なものに春分図があります。春分図というのは、春分の瞬間、つまり太陽が牡羊座の0.00度に入った時のチャートです。会合図というのは、通常2つの感受点がコンジャンクションになる時のチャートです。地震の予測に約2年周期の火星と海王星の会合図(火星と海王星のコンジャンクション時のチャート)を使う人もいますし、約20年周期の木星と土星の会合をグレート・コンジャンクションと呼び、長期の予測に使う人もいます。月相図というのは、新月図、満月図などのことです。日食図や月食図(新月や満月の特殊な形)も月相図のひとつです。

 また、かなり高度なものに回帰図(リターン・チャート)があります。出生図の太陽、もしくは月の位置に経過図の太陽、もしくは月がピッタリ重なる時のチャートです。それぞれ、ソーラー・リターン、ルナー・リターンと呼ばれます。チャート作製に相当の計算精度を必要としますし、何より出生時間が特定されていないと全く使いものになりません。しかし、現在のところ、未来予測に最も適した方のひとつであると言っても過言ではないでしょう。

 先程のTボンド・フューチャーの場合、出生の太陽が獅子座の 29度23分にありますので、1994年のソーラー・リターンは、8月22日の12:43'06" (Local Time)ということになります。実際には、占星術計算ソフトでも使わない限り困難かと思われます。(上のホロスコープ参照)

 さて、以上あげたような方法で予測していくわけですが、予測期間に応じてだいたい以下のような分類が出来るかと思います。

  1年以上~: 火星以遠の外惑星の会合図
  1年   : 春分図、ソーラー・リターン
  4半期  : 四季図(春分図を基本に、夏至図、秋分図、冬至図)
  1ヶ月  : 新月図、ルナー・リターン(ソーラー・リターンも併用)
  1週間  : 月相図(新月図を基本に、上弦図、満月図、下弦図)

 今回までの説明は、占星学の入門編(用語編?)に相当する部分です。他にも応用編として信じられないくらいの奥行きを持っているわけですが、入門編で紹介したことは、応用編でもそのまま生きてくる事柄ばかりですから、興味をお持ちの方は、しつこいようですが、ここまでの事項をまとめる意味で、本を一冊読まれると良いかと思います。(おすすめ本は、§8 を参照)

 今回までの説明で、用語の説明も含めてとりあえずの出発点に辿り着けたと思いますので、このあとはもう少し面白そうなテーマでゆっくりと取り組んで行きたいと思います。